お久しぶりです──歴史修正を覆して

笙野 頼子

FLJ読者の皆様

 お久しぶりです。笙野頼子です。
 FLJ復活、おめでとうございます。
 最近は鳥影noteで記事を書いていました。

https://note.com/choeisha/n/n455d5e2944c0
https://note.com/choeisha/n/n4744c10a69d2
https://note.com/choeisha/n/ne6389266eca4

 現在のテーマは仮想性別と仮想通貨です。次作は最後の一章を残すのみ、大半版元に渡してあります。
 最初は仮想について追及していたのに、気が付くといつのまにか反売春の話を書いていました。
 この本の題名を「民主主義で着飾って女だけを殺すゲーム」にするべきかそれとも「ひょうすべの最期」にすべきなのか今悩んでいます。
 困難は続くけど毎日忙しく充実しています。
 ところで最近、このようなツイートを目にしまして、困惑。

 https://t.co/zgjKw2xTQF という本が出るようです。
 ふーん、キャンセルカルチャーはなかったという見解なんですね。
 じゃあもしひとつでもあったら、この本を書いた人は一体どうするんですか? そう言えば私がキャンセルされたのではないという言説も結構ありましたね?
 しかしもし証拠があったらどうするんでしょう。

 もう四年も前のクリスマス直前にこんなことがありました。
 長年付き合った会社のものですので、けして迷惑でないように墨塗りしたものをお読みいただきます。

  ちなみに、
  1.このメールはキャンセルの証拠としてWDIコンタクトパーソンの石上卯乃氏による精査を受けています。
 また、私、笙野頼子がキャンセルされたという事実は現在もWDI公式サイトにキャンセルカルチャーの一例として掲載されています。
https://www.womensdeclaration.com/en/country-info/japan

2.この時刊行拒否された収録作品には朝日新聞等で絶賛されたものも含まれています。

3.問題となった「質屋七回、ワクチン二回」掲載の群像はアマゾンでたちまち売り切れてプレミアがついていました。私が売り上げの邪魔をしたということもありませんでした。

それでは以下に

 

 これで終わりです。
 ご覧の通りに、「ご提示のような主張をふくむ内容は刊行できない」とあり、思想信条に関するキャンセルであることが示されています。
 さて、たった四年の間に世界は正常に戻りつつあり、その中で日本だけが取り残されたまま、司法や自治体は暴走を止めません。
  女たちは最初の目的を忘れてはいないものの、その方法において分断化されつつあります。
 今はただ敵に付け込まれないように用心しながら、臆面もない歴史修正の言説をひとつひとつを覆して進みましょう。
 どうかご無事で。

 笙野頼子