ドナルド・トランプ米大統領は、就任初日の「ジェンダー・イデオロギー過激主義から女性を守り、生物学的真理を連邦政府に回復させる大統領令」、1月28日の「化学的・外科的な身体損傷から子どもを保護する大統領令」に続き、2月5日に「女性スポーツへの男性の参加を禁止する大統領令」を発令した。
女性スポーツへの男性の参加を禁止する大統領令
2025年2月5日
合衆国憲法および法律により大統領として私に与えられた権限に基づき、女性と少女が安全で公正なスポーツで競技する機会を保護するために、ここに命令する。
第1条 方針および目的 近年、多くの教育機関および運動競技団体が、男性に女子スポーツへの参加を認めている。これは女性と少女にとって屈辱的であり、不公平であり、危険である。またこれは、女性と少女が競技スポーツに参加して優秀な成績を収める平等な機会を否定するものである。
さらに、1972年の教育改正法第9編(タイトルIX)により、連邦政府の助成金を受けている教育機関は、女性がスポーツに参加する平等な機会に与えることを拒否することはできない。いくつかの連邦裁判所は「男女間の生物学的な根本的な真実を無視することは、女性と少女が教育施設を有意義に利用する機会を奪うことになる」と認めている。「テネシー州対カルドナ」事件、24-cv-00072, at 73(ケンタッキー州東部地区、2024年)を参照。また、「カンザス州対米国教育省」事件、24-cv-04041, at 23(カンザス州地区、2024年)(「教育における生物学上の女性を守るという大会の目標」を強調)も参照のこと。
したがって、女性と少女に公正な運動競技の機会を奪い、女性と少女を危険にさらし、屈辱を与え、沈黙させ、プライバシーを奪うような教育プログラムから、すべての連邦資金を撤回することが米国の方針である。また、安全、公正、尊厳、真実の問題として、より広義に、女子スポーツにおける男性の競技参加に反対することも米国の方針である。
第2条 定義 2025年1月20日付の大統領令14168(ジェンダー・イデオロギー過激主義から女性を守り、生物学的真理を連邦政府に回復させる大統領令)の定義は、本命令にも適用される。
第3条 教育における女子スポーツの保護
(a) タイトルIXの目的を推進するため、教育長官は速やかに以下を実施すること。
(i) 司法長官と協力し、2024年4月29日付「連邦財政援助を受けている教育プログラムまたは活動における性別に基づく差別の禁止」と題する規則〔ジェンダーアイデンティティに基づく差別を「性別に基づく差別」に入れたもので、大きな批判を浴びていた〕の撤回(「テネシー州対カルドナ」事件、24-cv-00072、at 13-15(ケンタッキー州東部地区、2025年)」を参照)を継続し、この規制が効力を有しないことを確実ならしめるために、その他の適切な措置を講じる。
(ii) 女子のみの運動競技の機会および女子専用のロッカールームを積極的に保護し、1972年教育改正法第9編で保証された機会均等を実現するために、あらゆる適切な措置を講じること。これには、(iii)項に記述されている強制措置も含まれる。また、 女性スポーツは女性のためにあることを明確に規定し、明確化することによって、また、この方針に沿った係争中の訴訟の解決、および
(iii) 女子スポーツにおいて、男性と競い合うこと、あるいは男性の前で脱衣することを女性学生に押しつけることによってスポーツや運動競技への平等な参加機会を否定している教育機関(そのような機関で構成される、またはそのような機関が管理する運動競技団体を含む)に対して、タイトルIX〔教育法改正第9編〕の執行措置を優先させること。
(b) すべての執行部門および各機関は、教育プログラムへの助成金を審査し、必要に応じて、本命令で定められた方針に従わないプログラムへの資金提供を取り消すこと。
(c) 司法省は、本命令で定められた方針の迅速な施行を確実ならしめるために、関連機関に法律に従って必要なすべてのリソースを提供すること。
第4条 女性のスポーツ競技における公平性と安全性の確保 多くのスポーツ競技の管理団体は、トランス自認の選手に関する公式な立場や要件を定めていない。 また、男性が体内のテストステロン値を一定レベル以下に抑えたり、「真摯に抱いている」ジェンダー・アイデンティティの証明書類を提出したりすれば、男子選手が女子カテゴリーで競技することを許可しているところもある。こうした方針は女子選手にとって不公平であり、女子選手の安全を守るものではない。こうした懸念に対処するため、ここに以下を命令する。
(a) 国内政策担当大統領補佐官は、本命令の日付から60日以内に、以下を実行すること。
(i) 主要なスポーツ団体および統括団体の代表者、およびそのような方針により被害を受けた女性アスリートを招集し、女性アスリートの最善の利益となる、公平かつ安全な方針を推進し、必要に応じて第9条の要件に一致する方針を推進すること。
(ii) 州の司法長官を招集し、女性がスポーツに参加する機会を平等に定義し、実施する上での最善の措置を明らかにし、女性スポーツへの男性の参加によって被害を受けた女性と少女の事例について教育すること。
(b) 米国務長官は、教育文化局のスポーツ外交課および国連におけるアメリカ合衆国代表部を通じて、以下のことを行うこと。
(i) 当該女性スポーツのカテゴリーが性別ではなくアイデンティティに基づいて設定されているスポーツ交流やその他のスポーツプログラムへの支援と参加を取りやめること。(ii) 国際連合を含め、性別に基づく女性スポーツのカテゴリーを保護するためのスポーツ競技を管理する国際的な規則や規範を推進し、国務長官の裁量により、国際的な運動競技団体や管理機関、および女性スポーツへの男性の参加を認める政策により被害を受けた女性アスリートを召集し、公正で安全な、女性アスリートの最善の利益を促進するスポーツ政策を推進すること。
(c) 国務長官および国土安全保障長官は、女子スポーツへの参加を目的として米国への入国を希望する男性を許可する政策を見直し、必要に応じて調整すること。また、移民国籍法第212条(a)(6)(C)(i)(8 U.S.C. 1182(a)(6)(C)(i))を含む法律の許す範囲内で、そのような入国を防ぐことを目的とした指針を策定すること。
(d) 国務長官は、国際オリンピック委員会がオリンピック競技大会を統括する基準を改正し、女性スポーツ大会への参加資格がジェンダー・アイデンティティやテストステロン値ではなく性別に基づいて決定されるようにすることで、公平性、安全性、女性選手の最善の利益を促進するよう、あらゆる適切な手段を講じること。
第5条 一般規定
(a) 本命令のいかなる規定も、以下を損なう、あるいは影響を与えるものと解釈されてはならない。
(i) 法律により行政省庁または各機関、あるいはその長に与えられた権限、または
(ii) 予算、行政、立法に関する提案に関する行政管理予算局長の職務。
(b) 本命令は、適用法に準拠し、かつ、予算の確保を前提として実施されるものとする。
(c) 本命令は、いかなる当事者による、合衆国、その省庁、各機関、その役員、職員、または代理人、あるいはその他の人物に対する、法または衡平法に基づく強制力のある、実質的または手続き上の権利または利益を創出することを意図しておらず、また創出しない。
(d) 本命令のいずれかの規定、またはいずれかの規定の個人または状況への適用が無効であると判断された場合でも、本命令の残りの部分およびその規定の他の個人または状況への適用は影響を受けないものとする。
ホワイトハウス
2025年2月5日
原文 https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/02/keeping-men-out-of-womens-sports/