御無沙汰しておりますFLJ読者の皆様、度々の事で申し訳ございません。お待たせいたしました。
両目の工事ついに無事終了致しました。大学病院等で五人の先生のご意見をいただき、結局角膜の最新治療をせずに人工水晶体再建術だけを受け、結果は成功。
少しリスクがあったのですがベテランの先生に担当して頂きまして、保険適用の単焦点レンズなのに、今、裸眼で両方一・二の視力が出ています。子供の頃のように眼鏡なしで外を歩けます。元々の乱視や私の角膜に特有な物の見え方は残りましたが、不便ではありません。とはいえ決定までが長く、術後の節制にも時間を取り、ネットをあまり見ていませんでした。その後は夢中で次の本の準備をしていました。
来年四冊出す本の、三冊まで大半完成しています。
長くFLJをお休みしていて、ご心配もおかけして申し訳なかったです。
でも私が黙っている時にはきっと、なにかしら水面下で「別の」努力をしているとご理解ください。
この四冊のうち二冊は文庫本です。解説、著者校ほぼ終わり、版元は無論、講談社でも河出書房新社でもありません。まず『未闘病記』で一冊、後は『母の発達』と『アケボノノ帯』を一冊にしたもの、『アケボノノ帯』の解説の方に、「狸の言葉(知る人ぞ知る)」の人語訳を入れています。他の二冊は書き下ろし。一冊は闘病記・私小説、執筆中、後の一冊は?
原稿を既に版元に送ってあります、ムック、ペーパーバックの可能性も、内容は?
刊行したらまたしても本を捨てろ、顔に刺青しろと言われるかも?怖いけど、仕方ないですね。医学、科学、言論、女性の安全に子供の成長、平和憲法から唯物論まで、すべて大切だと思うなら書くしかありません。今は新しい本を出すべき時です。怠けていたら資料が全部古くなってしまいます。だって、……。
治った目で見るネット、いろいろ激変していますが、これらすべてがひとつの悲劇に集約されます。タビストック以前、タビストック以後、そう言うしかないですね。
実に砒素ミルク事件、サリドマイド事件、に匹敵する子供の大難です。もし私がイギリスの現代の少女だったら、知らないで性転換治療を受けたかもしれません。今の私は反ジェンダー運動のことごとくにタビストック日本上陸阻止の望みをかけています。
まず、十一月十八日の共産党前女性デモ、セルフID制に抗して離党した女性が声を上げたとのこと、無事に終ったそうでほっとしています。でもその後がまた心配で、……。
このデモのあと「党中央は反省し始めている」という善意のツイートがまた出てきましたが、ジェンダー平等委員会は変わりませんでした。私は自分が最初にどーんと騙されたので心配していました。要するに二年前の、「『TERF』『差別者』とひとくくりに決めつけて糾弾するような意見に、私たち日本共産党は与するものではない」という話、完全になしですね?
さて、世界趨勢の中でこの件に関与したマルクス主義政党を見ると、スペインは途中まで保守化した社会党に頼れていました。ここのターフ勢力はよそより大きいようですが、しかし結局はだめだったようですね。イギリスも共産党より与党右派頼み、辛い話ですがどこも保守しか助けてくれません。
要するに「人権モデル」の人権とは、何なんだという話ですよ。そもそも左翼において、「人」とはなんでしょう?『ドイツ・イデオロギー』にある男と女を統一すべきという下り、今の私にはあれがジェンダー平等の起源のように思えてなりません。これまさに女の併合=女消ですね。
ていうか、日本共産党における、「日本では海外のような混乱は起こらない」という中途からの「意識改変」はそもそも一体、何時起こったのでしょう?古い記事ですけど、これ党中央が海外の混乱を知っているという証拠メールですよ?
なお、私の地元の共産党末端運動員などは未だにこのジェンダー政策について何も知らない人もいるようです。判っている方は国勢調査について等懸念はしていたけれど。
他、今年の夏、駅前で大きい看板を持って統一教会についての街頭アンケートを頑張っていた方にセルフID制と言っても知りませんでした。教会の追求もいいですが自分たちが連続で選挙に負けた理由も追求してください。何よりもタビストックを追求してください。
ちなみに赤旗は統一教会と反ジェンダーの連帯を示唆したいようですが、こうなると、さて、埼玉県議会の存在はどうなんでしょうか?ここはパブコメの大反対にも係わらず、ジェンダー条例を強行、しかも統一教会と親しい稲田朋美傘下です。今後学校にレインボー旗のポスター等を掲示する提案がされているさいたま市の市長も教会との関係が新聞に出ています。
ほんの三年程前まで、私は偏向なき赤旗が好きでした。でも今は失望あるのみです。そもそも現在の日本共産党にとって、埼玉県は日本ではないのでしょうか。一県まるごと仲間外れとは埼玉差別ですよ?
そして今もし山谷えり子を糾弾するとしたら、TRAの皆さん、どうか、「LGBT法案が国会通過すれば」、「女子トイレに男子が入ってくるし女子スポーツにも男子が入ってくる」という例のテーマをちゃんと糾弾し続けてくださいね。
その上でどうぞ「デマはやめろ」とおっしゃってくださいね。
そしてさらに「男を女にするためと称する魔法の薬をかけ、子供を不妊や不感症にしてしまう、こんな悲劇は止めてくれ」と訴えているターフの前で「そんな薬はない、どの薬も安全だ、デマをやめよう」と主張した上でガーディアンのニュースもデマよばわりしてください。壺も怖いですが薬も嫌ですね?
なお、日本の人々はこの問題をまだ知りません。一方スコットランドの民意は反ジェンダー三分の二、既に国民はターフと共にあります。スウェーデンでは未成年のホルモン治療さえ禁止になりました。
イギリスではこの前の記事に書いたジョンソン氏が辞め、後継のトラス氏が辞め、さらにスナク氏へと首相が転々としています。でも結局一貫して、反ジェンダーですね、民意強固です。
そして何よりも国連からの警告です。役員個人のものとは言え、今までこのジェンダー主義=トランスジェンダリズムを支えていた国連の中から、女性の権利を訴えてスコットランドに意見をする方が出てきたという事。
で、日本は今?というところですが、その認識は世界趨勢より遅れています。何よりも報道が少なすぎます。それでもジェンダーとは出ずに毎日新聞と東京新聞にWOKEという言い方でですが、女性の応援でトラス勝利という報道が出たわけで、進歩とは言えますね。でも他紙は?
そんな中で私の本を東京新聞、北海道新聞、週刊新潮、婦人画報に乗せてくださった方々にお礼申し上げます。
さて、……。
その他の話題というと『トランスジェンダー問題』の日本語訳刊行ですかね、しかし、……。
原書の刊行はタビストック閉鎖以前、それでは資料として古すぎます。
なんと言っても今はタビストック閉鎖以後です。あとこの本、アマゾンの英語レビューの中に資料が見つからないという批判が出ていました。そう言えば『シモーヌ』の笙野批判においてもうさぎアイコンの方から二次資料ばかりという批判がありました。
そもそも子供のトランス肯定治療の問題点に関する私の懸念に対して「端的に」、「間違っている」と言った水上文氏、「読んでないけど」、「差別的」の水上氏のツイートが現在こうです。だから、資料、古い、ですよ。
帯の小山エミ氏、もしやツイートでタビストックをご存じないとおっしゃった方ですか?「議論は正義のために」とあってもノーディベートですね。
なお、解説中、清水晶子氏は私が山谷えり子氏に投票した事をその中で取り上げていますが、このようなターフ現象に言及しながらそこに千田有紀氏の名前はなく、清水氏は文芸誌にバトラーの紹介文を書いている程の方なのに、千田氏という権威有る研究者を黙殺していますね?この当代一のバトラー読みである千田氏に対してジェンダーについての応答を何もしない、その事自体がこの本の問題点を浮き上がらせています。
さらにもっと不思議なのは赤旗の書評、反ジェンダーが一部の有名フェミニストのしわざと書かれていますが、解説に出ているのは無名ターフ作家である私の名前だけです。まあ紙面にもし笙野頼子と書けば「えっ、選挙総括を書いていた笙野がなぜ」、といぶかしむ読者も出るでしょうから、ていうか、FLJ読まれたら困るんですかね?
しかも赤旗で活躍中の有名フェミニスト北原みのり氏も既にターフ出版社アジュマブックスの社長、共産党につい最近まで協力していた仁藤夢乃という有名フェミニストの方も反買売春において党から離れつつある。
誰の名前も書けない不自由な共産党という事なのでしょうか?
次、「トランスマーチ」について。
このデモの特徴はトランスがLGBから独立しているところ、日本にもそのうちLGBアライアンスの支部か出来るのかな?
そしてこのデモは今まで李琴峰氏らがデマと書いていたセルフID制=自分の性別は自分で決める、をはっきりと打ち出し、証拠が残る形で主張しています。これを李氏のように、一部の極端な主張という事は無理でしょうね。だって千人がデモに参加、共同通信が報道、野党全部賛同、その上で、……。
FUCK THE TERFのプラカード出ました。年来世界中で私たちただの女は殴れ殺せ犯せと言われている、その追認ですか?「反買売春フェミを踏みしだいてこれからも我々は生きていくのである」の煽りも出ました、多くの安全を求める女達がこれに抗議しましたが共産党と親しいデモの主催団体は謝罪どころか追認しました。ターフのような差別者は悪人だからどんな目に合わせても(略)
基本的人権や生存権より流行の反差別を優先するのでしょうか?
トランスマーチ賛同野党に抗議した反ジェンダー団体も、このような対応しかして貰えませんでした。女性スペースを守る会 No!セルフID
他、トランスジェンダー国会です。実際は院内集会ですね。
トランス肯定治療の立場からタビストックに関する説明があるのかと期待していましたが、この件は報道なし、大切なのはそこだと思うのですが。
その一方で、出席者の一人が原告である裁判において、性染色体、内分泌ホルモン、性器、臓器の性別、などよりも大切なのは脛毛の濃さであるという主張がされたのですか?実は私これ案外に辛かったですが敢えていいます。
自分が男ではないと分かった、つまり思春期の私は、二歳下の弟に向かい「俺の脛毛の方がまばらだが勢いがあるぞ」と言って虚勢を張ったからです。無論その時点で私の脛毛は男に勝っていました。しかし今は難病治療でステロイドを飲んでいるため見るかげもありません。なので、……。
個々のケースとして気持ちは判りますが、どう考えても医学的、生物学的、現実的に無理かと思います。
ええとあとこれちょっと古い話題
山谷えり子に投票した私を見て、狂喜した男尊左翼について、この人達は例え票田が干上がっても女を滅亡させられたら満足なんだと思った。二回続けて選挙負けたのそんなに嬉しいんですかね?女が極右になる事こそ自分達の「正義の証明」、というのなら女は最初から敵なんじゃないでしょうか?そもそも、……。
女が極右を取った=あなた方は極右以下、という事判りますか?まあいくら言ったって無駄でしょう。既にこれは彼ら自身の問題で私の問題ではなくなっています。
この辺は長いので上の件と纏めて今度「紙」でやります。『WiLL』からは特にオファーなど来ていません。私の名前も知らないのではないでしょうか?
取りあえず八月に付いていた #臣民への道 というタグに対して、季節外れではあるけれど一応お返ししておきますね、#家畜小屋の扉 #魔女裁判まっしぐら #タビストックの薬売り #幸福の壺も魔法の薬も嫌
最後、私はひとり活動です、反ジェンダーのどの団体とも考え方は違います。このFLJともおそらく考えの違うところはあると思います。つまりはひとりのターフでもある文学者というだけ、GID特例法は厳格化して「なりすまし粛清法」、「性自認制限法」を作って維持してゆくのか良いのではないかというのが今現在の考え方です。
さて、お休みしていたあいだに連載の続きも、既にかなり「時代遅れ」となってしまいましたが、ともかく来年から再開いたしますのでどうぞよろしくお願いいたします。
それではよいお年をお迎えください。
笙野頼子