これがその最後のメールです。部分公開します。と言ってもこちらの送信分だけです。お返事はありません。こっちももう期待していません。無連絡で一年、どころか二年は経っているかもしれない私。しかし、皆さんがあまりに気の毒だし、いくら私と縁が切れていても普通あなた方には謝るだろうと思ったので、これが最後だし言うだけは言いました。
--文中、1のご報告は具体的な記事に関連するリンクが入っていて全公開すると心を痛める方がおられるという配慮でそこだけ伏せました。また途中の一文はあまりに私的で公共性のない記述なので数文字伏せています。
ジェンダー平等委員会様
お元気でいらっしゃいますか。
ご連絡しなくなってからもう二年ほどにもなるでしょうか。
私はすでに涙も涸れ果てておりますが、最後に1と2ご報告と3お願いです。1 ご報告 大西航元書記長の事件によりただでさえ末端党員の方は苦しんでおられます。
この状況で貴紙にはまだこのような書き手が登場するということについて私はすでに一切何か意見を述べる気力も義務もなくなっておりますが、ただ、ご存じでないのかもしれないというかすかな可能性にすがって、ご報告いたします。
×××××××××××(赤旗のある記事に関連するのリンク、具体的内容を伏せています。)
本当にこれでいいのでしょうか、いえ、そちらのご自由はあるのでしょうが。
2 世界趨勢で見て最も大切なこと、タビストックジェンダークリニックが閉鎖になりました。子供を欺いて危険な薬を使用し、失明、記憶障害、骨粗鬆症、自殺衝動の増加、不妊、不感症、生涯にわたる激痛などを起こさせるトランスジェンダー治療が報道されました。共産党はこのような子供の悲劇を我が子の身の上に起こるかもしれぬ悲劇としてはとらえていないのでしょうか。海外検索をすればいくらでも出てきます。赤旗は海外ニュースに強いと思います。
3 お願い といってもこれもゼロに近い(原文では「使い」ですが打ち間違いですので訂正します)可能性の中で最後のお願いです。
どうか共産党の綱領を元に戻し、号外で離党した女性党員や支持をやめた女性たちに謝罪してください。私は今回の共産党の路線変更によって余生の大半を〇〇〇〇〇〇〇〇〇ました。しかしそれよりなにより今まで共産党に献身し続けてきた彼女たちの心身が心配でなりません。別に彼女たちの代理をする資格はないですけれど、言わずにはいられません。以上で終わります。長くご連絡をせず失礼いたしました。元寄稿者 笙野頼子
短いメールですが某党には、このメールでまさにタビストック以後である事をお伝えしました。これで彼らはこの悲劇を知ったはずなんです。今後は絶対に知らないとは言わせません、しかも書記局長は医師なんですから。
ところで、……。
ここFLJは三ヵ月ぶり位ですかね?連載が遅れていてごめんなさい。でも皆さんは怒ってはいないですよね? 前回、私が黙っている時は、必ず何かしら用をしていると申し上げました。
ご存じない方も多いようですが、新刊「事故もなく」印刷出来ました。無事刊行です。
前作の『発禁小説集』は小説が主体だったせいか(怖い事もいろいろありましたが)、命の危険は感じないで済んでいました。でも今回はちょっと予想が付きません。
なおかつ今までで一番きつい出版でした。校了中から渋谷トイレツイートに対応したのです(版元は休みなしで働いてちゃんと図を入れました)。ただし、……。
発売が選挙中なのでご迷惑になるといけないと思い、声を挙げてくれた勇気ある議員さんのお名前を出す事はしませんでした。富士見市等、地名だけを最後のページにやっと入れました。無償で校閲してくれた某会も寿命が縮む程頑張ってくれました。
途中別件で印刷所を一回変更したため、ムック予定のはずが帯・カバー付きの薄い単行本に仕上がりました。安く出そうと頑張って版元も協力してくれました。
なお、この新刊は、ネットを見ない同世代や忙しい方々に向けたつもりです。皆さんには物足りない部分があるかもしれません。
「高くてもいいから分厚いのを出してくれ」とお思いの文学読者の方は、書き下ろし私小説を大半仕上げましたので、もう少しお待ちくださいませ。でもその前にこれもぜひともお読みください。FLJ読者の皆さんも実はここに新情報があると思いますので。
というと?
今回の本は「タビストック以後」の本、という意味です。
女性スペース問題と別の意味で、これもまた異様に深刻な悲劇ですね。海外だと子供の健康を守る政治家がこの悲劇を止める立法をしたために、無辜の子供や無関係な年寄りまでがTRAに銃で殺戮されたり、子供を思って演説するおとながTRAから暴力をふるわれたりしています。
さて、この新刊、書店に並べようと言うときにナッシュビル事件が起こってしまいました。またしても記念日(トランスジェンダー可視化の日)近くですね。そう言えば昨年はトランスジェンダー追悼の日の準備をしている、性的少数者のための店においてノンバイナリーを自称する男が五人を射殺しました。というわけで、・・・・・・。
四月一日、私は久しぶりの外出を取り止めて家にいました。というのもこの四月一日をトランスジェンダー復讐の日にしようと言う海外のある組織の書き込みを見たからです。日本でも用心するに越した事はないと思ったので。
私は女性スペースを死守したいと訴えるとともに、かつての性別違和当事者として、子供への医療虐待に反対しています。ナッシュビル事件はまさに子供を心配し見守る親たちへの「復讐」になってしまいました。でも彼らが何をしたの?残酷すぎます。
でもそれで外出しないなんて心配しすぎですか?いいえ!
日本でさえ、銃はなくとも、理由は別としても池田小学校事件は起こっています。そのうえ昨年からはもう立派に狙撃社会です。
そもそも、罪もない小学生三人や関係のない年寄り三人を、つまり合計六人も一瞬に殺してしまうだなんて、……。
当局はまだ狙撃犯の動機を四月四日現在で未公表ですが、一説に、この犯行以前すでに「自分たちはジェノサイドされそうだ(=テネシー州において今後、子供が胸切除等の手術を受けられなくなると決まった事に関して、これで子供は自分が望む性別になれない=存在を消される=トランスジェノサイドだ、と解釈した上での)」というTRAサイドの抗議があり、またそれ故に「トランスジェンダーの人権を守るため武器を取って実力行使をしよう」という一派もありました。しかしこれ本当に人権なんでしょうか。今はタビストック以後だというのに。
「心の性別(この観点、イギリスの慈善団体マーメイドはまっだ使っています)」を理由とする子供の身体への不可逆手術なんて、これ、下手すると児童虐待ですよ。世界はすでにこのトランス肯定治療の危険性に気付き始めています。親が心配するの当然でしょう。
それなのにこんな事件の後も、殺人者が警察に銃で撃たれたから、この小学生と「同じ」被害者だと言うTRAがいたり、その主張のもとに集会をする人までいるのは一体どういう認識なんでしょうか???
それで子供を殺された側は「ヘイター」なんですか、子供を殺した方は被害者で弱者なんですか。こういう事を書くと「ヘイト」なんですか?ああ、そうそう、「ヘイト」呼ばわりといえば。
滝本さんが勝訴されました。
ついで、この一月に私も(別件ですが)最高裁勝っています。
もう少ししたら、これに追記して『トランスジェンダー問題』と杉並条例のその後を補足します。でももしそう言っていてここに来ていなかったら、無論……。
私は、必ず何かしていますのでどうかご心配なく。
というわけで皆様、どうか選挙にはお出掛けください。私はもう県議投票を済ませてきました。ひとりでも反ジェンダー地方議員を増やさないと、地方こそ危険な事になっていますから。
最後になりましたが「一市民」様の御本、電子版の復活をお祈りしお待ち申し上げています。
四月四日、薔薇の節句に 笙野頼子