お元気ですかまたしても、……(4)

(4)芥川賞と私、と女千字文

笙野頼子

 さて、ここからはすべてせこい話ばかりです(すいません)。

 間に謹告が挟まってしまっているのでちょっと判りにくいですが、そうです、今回は例の水上氏でした。とはいえ、……。

 ここまでの事件の後、「なんでまだやるの?もっと大切な事が」等言われそうです。でもこれ言論の自由の問題であるばかりか。

 まあやはりメケシというのは地球レベルの大問題であって、例えば?

 改憲はどんな異様なものでも近代法制の枠組みで手順をもってやるしかないけれども、メケシはひとつの法律に入り込むだけで、少なくとも憲法二十一条と二十四条をたちまち壊滅させてしまうはずですから。

 しかもメケシはTPPが国家から経済主権を奪い、日本を世界企業の植民地にしていくのと同じように、女性主権というか女性という主語を、植民地化します。

 この、主語のない人間、メケシされた女とは、既に奴隷であり、その上で主語がない以上発語も出来なくなっている。すると最終的にはまあ家畜かな、という……。

 他、この水上氏問題等の内部告発が実は、マスコミの自浄作用に繋がる事も私は信じておりますので(昨年四月、法廷でも私はそう言いいました)。

 なので、報道を健全化するためにも、まず実につまらない事をあげつらいます。

 例えばこの水上氏、今年始めから、芥川賞の勧進元、文藝春秋の文芸誌『文學界』において、新人小説の月評担当という権威あるお立場にあるわけです。私の糾弾と前後して確かネットでそれを予告しておられたはずでして、確か今年末まで続く予定ですよね? 

 無論、文芸誌はどこでも芥川賞候補対象にもなるであろうこの新人小説の評価を気にするはずと私などはつい思ってしまうわけですが、要はその成績をつけているお方という事です。なおかつ、……。

 この月評二人でやる事になっていて、もうひとりの綾門優季という人物もまた、横網公園へヘイトカウンターに行った事のある私を在特会扱い、私の載っている『群像』は読みがたいと、その追放に安堵する発言をされたわけで、……。

 但しこの人の任期は昨年後半から今年前半までだったので、やめたばかりです。でもちょっと前まではやっていたという事。

 そして、どんな気の強い編集者だって、自分の担当する、芥川賞候補になるかもしれない新人に対し、或いはその前段階の候補選定において、少しでもひびくかもしれない存在をまったく気にしないという事はあり得ないですよね?

 ていうか今の私ってなんか最近の芥川賞を敵に回しているようなものなんでしょうか、相手に対して何の悪意も持っていないつもりだけど、今はどんな人がいるのかもあまり知らないし。まあそれはちょっと自意識過剰かな?ただ結局、……。

 気がつくと最近の、旬の芥川賞作家二人までが、私をヘイト認定して攻撃しています。それはご存じ李琴峰氏と新参加の小山田浩子氏。そこに私ごとき老婆でも加わっていればこれで芥川賞作家が三人となる。すると?大々的論争になりますかね?

 例えば先のお二人連名で『文藝春秋』等に特別寄稿をしたらさぞ似合うだろうと思ったのですよ?しかし、しませんね、だって二人ともやる気ないんだもの。


(5)に続く