笙野 頼子
大半の皆様へ
初めまして、笙野頼子という無名の作家です。一人でものを言いがちな私小説家です。
桐野夏生様、星野智幸様、一部の皆様へ
御無沙汰しております。私のことなどはもうお忘れかと、……。
さて、……。
あなた方はこの署名によって、さらには私からの質問を黙殺する事によって歴史に名を残します。
文学史の片隅に残る私自身が、ささやかな業績をかけて、死んでも残します。
世界勢力と戦う無名の女性たちの大活躍を描くその隣に、当時の「小説家」達が何をしていたかを記録として残します。
と、申し上げた上で、……。
「小説家」を名乗る皆様が準公人であり、発言に責任をお取りになるであろう事を想定してお尋ね致します。
そうです、この「小説家」についたカギカッコは皆様ひとりひとりの自称を表す、というか引用のカギカッコとして付けています。決してアイロニーのカギカッコではありません。念のためですが申し上げておきます。ところで、……。
今から、肝心の質問をする前にするべき問い掛けをしてみたいと思います。
そもそも「自由で多様な社会」を可能にするために、特定の作家に真実の報道をさせないということは妥当でしょうか?
しかもその作家が女性の安全や子供の健康を守ろうとして事実を書いていたのに今、黙らせられようとしています。
皆様は「この署名はそんなこと意図していない」と反論されますか?
でも実際にそうして書くことを禁じられる作家がいるのですよ。
つまり現在、あなた方のこの署名は、……。
私が日本文藝家協会ニュースで三年に一度程度書くだけの、千字前後の短文をこれ以上書かせないために「流用」されています(と私には思えます)。会員の皆様はどうか協会ニュース2024年十二月号の7ページをご確認ください。これで会員のための「報道」は出来なくなりますね?
その掲載禁止にすべきと言われるきっかけとなった私の短文二つはここで読めます。
三年に一度くらい書く千字程の文、ご存じのように無償で会員のために書いています。
https://femalelibjp.net/?p=668
https://note.com/choeisha/n/n30cbfabca8ce
ここに書かれた事は事実と言えます。海外情報も私の校閲チームが確認してくれたものです。既にガーディアン、BBCが報じたのもあります。
最近、私のこのエッセイの一部をファクトチェックしてくださった方までおられます。
https://note.com/big_lizardswife/n/n502e5ebea45d
そればかりか近々では、「週刊現代」が斉藤香苗氏にインタビューし、最新の事態についても報道しています。
https://gendai.media/articles/-/142827
実際「デマ」どころか事実なんですね、日本に近しいドイツでもセルフID制は昨年十一月から始まっています。
https://x.com/initiative_lfs/status/1834283145929093191
にもかかわらず、……。
署名責任者お三方が先日、この声明に寄せると称して、事実上私にだけこのような「報道」を禁ずるための対策を講じようとなさいました。
なお、そのうちのお一方は協会の常務理事、お一方は新任評議員です。
また、その他のお一方、李琴峰氏はここ三年、私について執拗に言及しておられます。
最初のご批判はすでに何らかの理由でご本人が削除されていますので、スクショは持ってはいますが引用を控えます。私はうそつきのように言われていました。しかも、それからというもの、……。https://note.com/li_kotomi/n/n72f7586dbddf
この方はデマ扱いや嘲笑でこの三年間ずっと私の作品を中傷しています。さらには協会ニュースが私のエッセイを掲載したことを差別への加担と問題視しています。他の媒体にも刊行物の中にも私への様々な中傷があると私に報告してくれる人々がいます。しかしこちらは出来るだけ我慢してきました。反論にしても出来るだけ名を出さず柔らかい表現を心掛けてきました。
https://femalelibjp.net/?p=870
なぜならこの方は性的少数者で不用意に傷つけてはいけないと思っていたからです。
しかしトランスジェンダーとは今の今まで知りませんでした。
李氏は私の読者でもある優れた書き手を弁護士を立てて裁判にかけ、三百万円を要求して十六万五千円を獲得しました。その上で彼女が私の大変良い読者である事を嘲笑しました。https://note.com/famous_newt5761/n/n12ea42e22c7b?sub_rt=share_pw
その他には台湾で一般女性相手にご自分が起こされた裁判に敗訴した後、相手方の個人情報をネット上で公開してしまっています。この台湾の方も私の作品をお好みのようです。気の毒です。https://letherspeak.oen.tw/posts/2oTRRnvOzxfJz7rRSW6fIPLBrQP?locale=en-US
さて、この様子をご覧になって皆様は何とお思いですか。
このような署名の「流用」を私に対する個人攻撃とはお思いにならないでしょうか。ちなみに同傾向のエッセイを協会ニュースに発表したお一方は私程には攻撃されていません。出るべきところに出ればこの流用自体が私に対する個人攻撃目的であると認定されるかもしれませんね。
という事をお含みおきの上で、どうか協会員でない方も全員でお答えください。
イエスかノーかで済む質問です。
1.この署名のこのような「流用」を認めますか。
それとも、この署名の皆様の目的は、最初から私、笙野頼子を黙らせる事だったのでしょうか。
それならば特に「流用」と呼ぶべきものではなくここに名を連ねる方々全員が最初から私の言論を封殺しようとお思いになっていたという事になると思います。
ことに中沢けい様、三浦しをん様 協会の要職に就いておられますね、私を黙らせるために署名されましたか?
ていうか協会員でない方の署名も随分ありますね?それで会則等を変えるつもりですか?ノーディベートでですか?
2.あなた方は皆殺しにされたレズビアンの一家のために泣こうとは思わないのですか。未成年のうちに胸やペニスを切られ或いは健康なのに抗ガン剤を流用した危険な薬をかけられ、それで一生病人にされてしまう子供達を心配する気持ちはないのですか。凶悪性犯罪或いは連続殺人で入所した女性自認の男性から、性暴力被害にあう、女囚達の悲劇に関し何一つ共感能力を示すことが出来ないのですか。
全員に対する質問はこの二つだけです。
そして以下は個々の方に対する質問です。
池澤春菜様 お父上の池澤夏樹氏はこの問題に御興味を持たれていないのですか?
桐野夏生様 同じ谷崎賞選考委員の池澤夏樹氏はこの問題に御興味を持たれていないのですか?
桐野様には一昨年、ペンクラブ宛ですが『女肉男食』をお送りいたしました。届いているでしょうか。
小山田浩子様 以前にこのようなツイートを目にしました。
https://x.com/holeandweasel/status/1495746563817484291
今私の文章を封殺するというのなら、どうしてその私の「泣いて喜んだ」という解説も封殺しようとは思わないのですか。その後も平気で増刷を喜んでおられますね。その文庫を絶版にしてどなたか「政治的に正しい」作家の方に改定版の解説を書かせようとはお考えにならないのですか?
古川真人様 あなたは十八歳の時私の『だいにっほん、おんたこめいわく史』を自由に書いた作品として評価してくれました。大昔の話ですがとても嬉しかったです。しかし今は私に自由に書かせないための署名をしているという事になります。つまりはそう受け止めても良いという事ですね?
山崎ナオコーラ様 あなたはすばる十月号の『言霊の幸う国で』書評において、私にパーティで作品を褒められたと書いておられます。ところが私にはさして、そんなに褒めたという記憶はないのです。以前に、あなたの着ていた緑のスカートを主に褒めようとして「良いスカートですね」、といった後で「良い作品ですね」とさすがにデビューの晴れの日なので短く、そう付け加えました。また編集者があなたを連れてきた時、あなたの大震災への寄付額が多いと褒めたことだけは覚えているのです。しかしその他にはどのパーティで一体なんと言って褒めたのでしょう。ちなみに以前は合評などで少々甘かったですが、これは新人は叩かずに伸ばすという私の方針で、余程の事が無いかぎりそんなにけなしません。そして作品上、ジェンダー規範の攪乱を試みるかもしれないと少しは期待していたからです。
しかし今となってはまさにその根本にあるものが露出してしまっていますからね。なので私にとってもう見るべきものはない、誤認あるのみだったと申し上げておきます。
安堂ホセ様 一体どのような意図で、従来の発言を削除されたのですか?
今回はこれだけです。しかし今後の展開を見て、或いはX等を参考にさらなる質問を追加するかもしれません。
何卒よろしく、お願い申し上げます。